MICHI ISHIJIMA - Pride One -

ミスター・ニコン最後の日の前日。

ミスター・ニコン最後の日の前日。

今日、夜になり溜まっていた3000通の未読メール(苦)を削除していると、ニコン後藤哲朗さんからの退社の報告メールを発掘。読むと明日25日を最後に、、、。後藤さんといえば名機 F3 を作り上げ、その後デジタルになって Df を世に出されたニコンの重鎮。後藤研究所所長でもあられました。

学校ではオリンパスOM-1を使ってました。そして仕事を始めるにあたり使ったのがニコンF3。33年前のお仕事としての撮影は日本光学(旧名)から始まっていたボクなのでした。

ニコン重役も出席していたオリンピック帰りのフォトグラファーを集めた報告会。その席上「ニコンはキヤノンを追うのではなく、ニコン独自のニコンらしさを追求してください」とぶち撒けて以来ニコンの社員の半分はボクのことを嫌い(笑)な四面楚歌。でもどんな時でも後藤さんは味方でした。多くの社員の方々には「石島さんには後藤さんとのホットラインがあるから」と腫れ物扱いだったりでしたけれども(笑)

余談ですが(苦)、ではなぜキヤノンを使うようになったのか?!

それはF3とF3Pを2台使って地方の体育館でバレーボール撮影していた時の話です。2台が同時に急に動かなくなり、当時F3に付いていた緊急シャッター(1/90秒固定)で何とか撮影を終えて、帰京してすぐにプロ機材課へ持っていきました。窓口で受付し、症状を話した後にその方がその2台を裏の作業場に持って行ってくれました。しかしそんなに待たされる事もなく「また症状が出たら持ってきて」と言われ何するでもなく返却。その足で中古屋さんに行き、売却とともにCanon F-1のローンを組んだからです(爆)。まだ20歳そこそこでした。今みたいに銀座ではなく、新宿だった記憶が。。。

昔っからそうなのですが、機材ははっきり言ってしまえば何でもいいのです。今で言ったらオートフォーカスが早いだとか秒間何コマ撮れるとかはどうでもいい。それに合わせた撮影手段を取れば良いだけのこと。ただ昔、画素数が足りないとまだデジタル創世記のデザイナーが言ったことを鵜呑みにした女性編集者がキレ気味に喰ってかかってきて…当時それ以上の画素数カメラも世になく(苦)。言うまでもなくその時々の最高画素数カメラを使い、画素数にはこだわりを持っていました(汗)。ではなぜ『その』カメラを使いたいか!? それはこの手にするまでの間の人達の汗や悩みがわかる『もの』、そして手にした後のフォロー、要はその1台に関わった、関わる『ひと』でした。ブランドってそういう事だと思うのです。なぜライカが高いのか? 全て手作業で1日80台しか作れないのもあるでしょう。なぜフェラーリが高いのでしょうか? それも同様、そして購入者はフェラーリを支えている自覚を持っているからです。フェラーリがレースを続けられるように支援しているからなのです。

ユーザーに言われたこと、プロに言われたこと「全部入れました!」は逆に使いづらくなるだけで、世間の方々はその機能のどれだけを使っているのでしょう?! そして気が付けばカメラが何でも撮ってくれる。「目つぶっててもこのカメラなら撮ってくれるから」とは一昔前のボクの口癖でした(笑)。考えること、工夫することを忘れてつまらない心のない写真のオンパレードの昨今、写真がつまらなくなった理由のひとつでもあります。あっ、これ欲しい!と久しぶりに思ったカメラがニコンDfでした(買わなかったけどw)。

46年3ヶ月のご勤務だったそうです。6月25日、明日を最後に。

ちゃんとダメ出ししてくれる関口さん(娘さんはプロの競輪選手!)が退職なさり、そして今度は重鎮、後藤さん。残るはフォトマイスターHさんのみのニコン。そういえば久しくニコンのカメラを使っていません。。。汗

不思議なことにニコンさんは数字に関する面白いジンクスがあります。「ニコンの偶数番はダメ」というもの。フィルム時代F3は歴史に残っている名機、しかしF4でコケて、デジタルもD3、D3sと3を引っ張りましたが、D4で、、、ボクのD4も暴走が激しく、都合5台交換してもらいましたが最後まで落ち着かなかった。そして面白いと言ってはいけないのですが(汗)、ミラーレス機がついに英語圏では最後を表す『Z』を使ってしまったということ。しかもフィルムカメラ最後はF6、東京オリンピックを前に出されるレフレックス(ミラー付)の最後?のものが偶数のD6…。ミラーレスはいきなり2台同時出しで数字の呪縛を解こうと7にまで数字を進めてはみましたが、あくまでも『6』と同時。Z6は『最後の最後…』。まぁ物語としては面白い話です(笑)。後藤さんの退職となにかあるのかも面白いところ。

ニコンのレンズ、ニッコールの描写はもの凄く、肌の丸みが綺麗に表現できるレンズ。このレンズ資産を巡るだけでも各社は取り込みたい(?)。ソニーはマネー系が好調で資金はある。キヤノンは創世記にニコンに手助けを受けたお返しを今の世で出来るのか?!という点。願わくば、ニッコールをマウント・フリーのレンズにしてレンズメーカー化する方向になったら1番嬉しいのは、、、ボク!?(爆) ついでに3Dトラッキング技術をキヤノンに無理から売りつけて使わせるとか(笑)。

なにかが大きく動いている気がしてなりませんが、大人の事情は大人同士で行っていただき、子供はカメラというおもちゃを使って遊ばせていただけれいれば文句はお腹空いた時くらいですd(^_^o)

そういえば、うちの父親のカメラ、果たして何台壊しながら大きくなったのだろう?! ものごころついた記憶の中には少なくとも3台、そして1台の露出計を壊した記憶は残っています(離婚した時に形見の唯一使えていたカメラは捨てられちゃいましたが・爆)。