「形あるものは壊れる」という言葉がありますが、『形ないものも壊れる』
現代において写真を撮るという仕事をしていて、1番切実な形のないものというものは『データのままの写真』。プリントにしておけば形として残りますが、デジタルカメラの撮影はデータ。コンパクトフラッシュやSDカードに入ったままでも形はないし、パソコンに移してもDVDに焼いたとしてもそれは形のない目に見えない1と0の複合体だということを昨夜久しぶりに思い出さされました。
帰宅して撮影してきたコンパクトフラッシュの中の写真を取り込もうとすると、、、すでにそこには「何もない状態」。カメラに戻してみると「カードが読めない」状態。何年に1回あるこのカードエラーはクレジットカードが引き落とし出来ずに使えなくなるエラーよりも少ない確率でやってきます(苦)。
記憶の中で前回は覚えていないのですが、1番大きかったインパクトはドイツでの2006年のサッカーW杯の日本戦最初の試合。試合が終わり、取り込んで日本のNumber編集部に写真を送ろうとしたらCFカードの中身が何も入っていない。重さはあるのに中は何もない。。。編集部に電話して「という事で送れません」。この時くらいからのNumber誌面は、投稿写真状態で、編集部に早く送ったもん勝ちの誰でもなんでも良い写真で構成されていた時代(今は知らんw)。しかしボクを含めた5人のフォトグラファーには基本給がすでに支払われておりある程度の義務は発生していました。。。苦
その時も今回も速報、即納品マスト。そんな時にやってくる撮影データカードのクラッシュ。フィルム時代とは違いどうしようもない手に取れない『1と0』は結合すれば写真になり、クラッシュしたら藻屑となる。2012年ロンドンオリンピックでも1枚吹っ飛びましたが、その時は速報系は読み込めたカード分の写真で対処できました。多くの方が撮影しているものは他の方の写真や通信社の写真で対処できるのですが、自分1人しか撮影していない現場では不安とともにデータ復旧ソフトに頼らねばなりません。幸いにも復旧ソフトで救い出せた事ばかりでしたが、昨夜も復活できました。
まずは恐る恐るのカードの初期化。そして復旧ソフトはSanDiskのRescuePRO ( http://www.lc-tech.com/pc/sandisk-rescuepro-and-rescuepro-deluxe/?gclid=Cj0KCQiA_JTUBRD4ARIsAL7_VeWjrAi-jQb4jcE6WRhvIAnI5WcBlVeV_oCA3WCvJUTs0r9oPgiAiCMaAvGaEALw_wcB&lang=ja )。今回も50パーセントまで復旧出来てから表示は止まったまま。そんな時は寝るに限る(作業が夜だからw)。朝になったらちゃんと出して起きるのを待っててくれます。即納は出来ないのでそんな仕事は諦めるしかありませんが、これまでも後日納品仕事は助かってきました。
毎回そんなパソコン任せ作業を待っている時に思い出されるのは、自殺した先輩や友人、同業者。写真データカードもクラッシュしますが、人の感情や人の精神状態も形ないものとしてクラッシュします。
デジタルデータになってこれが怖いという同業者の方々もおりますが、フィルム時代は復旧など出来ない。海外撮影を終えて帰国した時のセキュリティチェックでX線に感光したフィルムは復活しない。ハワイでの撮影を終えて帰って来てこれにやられて自ら命を絶って詫びた先輩をいつも思い出します。だからデジタルになった今、こんな時はパソコンに任せて寝るに限るのです(必)。
データクラッシュに限らず、問題が起きたら友人、知人、先輩、後輩、見ず知らずの人に相談してください。今ではネット検索してもいっぱい出てくるでしょう! デジタル写真は形がない。しかし撮影者としては形どころか大事な存在としてあなたは居る。そして幾度も修羅場をくぐり抜けたボクの経験はそんな形の有無以上にモノを言います。悩む前に相談してみてください(何年か前にも同業者の写真を復活させてました!)。
まぁ、とりあえず何事も悩んだらとりあえず寝るに限ります!(爆)
情報は持っていても使わなければ単なる知識、だからいつでも連絡してみてください。
その為のボクは24時間営業なのですから!!(笑顔)