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2021年とともにアマチュアスポーツは終焉を迎える

2021年とともにアマチュアスポーツは終焉を迎える

毎年1月3日に東京ドームで開催されていたライスボウルという日本のアメフトで一番歴史がある大会の取材申請が11年目にしてお断りをいただいた。正式には出し直し連絡を頂いたのが12月22日で、締め切りが24日だったものを29日にそのメールを見たので締め切りを過ぎていたということ。

個人的は楕円のボール競技はラグビー・トップリーグがリーグワンとしてプロ化することをきっかけにヘルメットや防具を外したいと思います。

来年よりプロサッカー天皇杯に続いてプロバスケットボールBリーグも元旦からリーグ試合を行うようになり学生スポーツ以外でのアマチュアスポーツは年明けとともにその存在意義が問われてくることになりました。つまりは限られたお小遣いの中で入場料を争奪し合う競技が増えたということです。その最たる最初の大会が学生に嫌われた形で型式まで変えなければならなかったアメリカンフットボールの日本一決定試合ライスボウルです。

日本のアメリカンフットボール、社会人リーグはアメリカの超人気スポーツNFLのそれとは別の競技かと思うくらいに日本ではマイナー中のマイナースポーツとなってしまっています。実際はこれほど面白い競技なのになぜなのだろう?!と思ってはいました。

しかしそこに身を置いてみると、外様を受け入れない内輪盛り上がりを脱しきれずにほんとチンケな保身に終始していることに気がつく人も少なくはないようで、「もっとメジャーに!!」と声を出している人にそんな話をしてみると理解してくれていました。

だからNFLは好きだけど日本のXリーグは観ないというアメリカンフットボールファンは驚くほどに多い。試合時間もクオーター制なのに日本の社会人は何を急いでいるのか1時間を12分x4回=48分しか過ごそうとはしない(NFL、ライスボウルは15分x4回)し、そこからNFLに繋がりはしていない現状。

日本国内のサッカーやバスケットボールをみれば、国内リーグの充実が国際大会に強くなるということは明らかで、きっとアメフトも国内リーグの活性化がNFLへの選手送り込みも叶うはずなのであります。

形から入るのも良しで、日本のスポーツ団体、各国内リーグは好んでアルファベット1文字を用いてはおりますが、それは実際に1993年日本のサッカーがプロ化してJリーグと名前を変えて成功したことによる影響が大きく、そのサッカーに関してもアマチュア日本リーグからJリーグ創設を経て成熟するまで共に歩んでこれた歴史の中に居た身としては多くの競技が追従し、地域に根差し、地元の誇り、地元民の楽しみになって来たのが楽しくてしかたありません。

日本社会人アメリカンフットボールリーグも名前の変更だけの動きは速く、1996年にはXのひと文字リーグにしたのですが、大会方式などはアマチュアリーグのまま調べたら変更はなかったようで、実業団リーグと東西に分かれていたクラブチームを統合して全国リーグということで発足しなおしたのだそうです。全チーム総当たりは1回も行われてはいないとんだ全国リーグだったらしいのです。そしてこのリーグシステムが進むうちに実業団の各大手企業はアメフトから手をひき、解散したり、うまく企業と話し合いの末に解散ではなく企業の福利厚生扱いからスポンサーとしての出資に落ち着いてのクラブ化だったりして存続したりしてきたようです。

現在では企業が少なくなりクラブチームの中に企業チーム2チーム共存という形を取っており、実業団としては富士通とパナソニックが残っているだけになっています(あとは企業名が付いてはいるがネーミングライツで名前をお金で売り渡しているクラブチーム)。そしてこの企業2チームが2022年1月3日の決勝カードとなっているという考えなければいけないことを毎年棚上げになってきている気がしてなりません(個人的には富士通好きだから勝っては欲しいのですが)。

根本的にはファンとしては、この日本のアメフト各チームの名前もエンブレムも個人的にはケチをつけたいのです。例をあげるならば、ノジマ相模原ライズ。このチームは石井さんという選手が、オンワードという企業チーム解散によって立ち上げたクラブチームなのですが、家電屋さんのノジマさんの微々たる契約金で名前を売ってしまったらしく、金額の低さを毎年のように事務局長は内外部に愚痴っていました。でも現在でも石井さんの会社がもの凄い金額を投じて維持しているということ自体が石井さん自身の活力となって、仕事を廻し、現在ではいろいろと展開する会社を束ねるホールディングス型式にまでなっています。しかしグラウンドはノジマの持ち物で、独立したクラブチームであるのに、世間的にはまるで女子サッカー、ノジマステラとも兄弟であるかのような扱いでノジマのアメフトチームのようになってしまっていたりしています。エンブレムも最初NFLのブロンコスというチームのパチモンかと思うほどにオリジナルが太ったような白馬となってしまっています。しかしエンブレムに関してはNFLのパチモノ化が日本のアメフトチームには定番でありがちになっていて残念ではあるのですが、強豪チームの富士通やパナソニック、オービックシーガルズはオリジナルエンブレムで頼もしい限りなのです。この点、オリジナルマークが強さを表すバロメーターなのかもしれません。

話を戻しましょう。

アルファベットのXリーグと名前を変えたところで、全国でのリーグとは名乗ってはみたものの、NFLはアメリカの広さでの区切りであって、日本の移動距離からしても独立リーグの各チャンピオンがシーズン最後に真のチャンピオンを争うくらいにしか感じられず、経緯も東西各ABと4つ、その後にイースト・セントラル・ウエストの3つまでには減ったのですが、試合数も変則、場所も東は川崎球場、西は神戸か大阪という盛り上がりには程遠いセントラル開催方式になってしまっています。

各チーム1試合だけはホームとして会場を選べるようになったことは小さな1歩ではありましたが、東と西で1チーム1回くらいづつの東京・大阪(神戸)相互遠征があるだけ。ただ九州の福岡にある福岡SUNSは毎試合大阪(神戸)まで行かなければ試合に参加すら出来ない(1試合だけ福岡開催)という不公平さに加えて川崎までの移動が1試合。それに比べたら千葉であったり埼玉であったりするチームが毎試合神奈川県川崎市に行かなければならないのは日頃の通勤みたいなものに感じることもできます。これでは北海道や東北にチームがなどとはならないのは当たり前と言えます。

しかし福岡に加えて沖縄にまで出来た西日本、協会の人もボクが行くと笑顔で親しくしてくれる西日本協会、それに比べて東日本・・・クラブチーム創設もそれが現れているのでしょうか?!(爆)

実際各チームも予算の差=力の差でもあり、上位チームと下位チームの差は大きく、そのためのチーム数を8チームにまで減らしたスーパーリーグ制度を始めたはずであったのだが、来シーズンからまたチーム数を増やすようで毎年違うリーグ方式、チーム数は把握できない。しかも内容も56−0、84−0とか同一リーグとして試合しても仕方ないと思えるレベルの差があるという事実。何がしたいのだろう!?どんな癒着が!?と勘ぐってしまう。

そしてライスボウルに話を戻すと1983年まで学生東西対抗戦として歴史を刻んできた同大会でしたが、1994年からは学生と社会人チャンピオンが対戦する大会となり、1987年度からは東日本リーグと西日本リーグの1位チームがプレーオフとして『神戸ボウル』を行って、この勝者がさらに実業団リーグのチャンピオンと対戦して、勝者が学生チャンピオンに挑戦する形の日本一決定戦として行われていた。寿限無寿限無・・・書いている本人が理解できていません(自爆)。

なにはともあれわかりにくいし覚えられない。常に日本のアメリカンフットボールは内輪で決めて、内輪の盛り上がりで終わってしまうように感じてしまいます。これがボクを含めて関係者ではない人々に向けられているとは思えない状況を作り出しています。

外に広めたいのか、うちわのクローズのままでやりたいのか、表向きは前者であり、内部に回ると後者である保守が主流となってしまうのがこの10年間の取材者、撮影者という立場でわかったことでした。大会方式の変更も今年1月に来年1月のライスボウルの大会をこれまでの学生と社会人の日本一決定戦から、社会人の優勝チームを決める「だけ」の大会に変更。その変更期間は1年もありませんでした。

入場者、観客に対してもアマチュアリーグといえども全て有料であり、ネット配信とともに安くはない金額を観客に課しています。そしてそれ以上にリーグ加盟料がもの凄い金額となって各チームに負担をしいているということもあります。

まずは入場料、なぜこれまでも決勝であったJXBやライスボウルは満席になっていたのか?を考えてみたいと思います。

普段閑古鳥が鳴くのはロッテオリオンズ時代からの代名詞であった川崎球場、しかし強豪チームの富士通やオービックシーガルズの時は埋まっています。これは招待チケットという無料のチケットが出ている動員と言っても企業努力(チームの努力)が大きいから埋まるのであって、ただ単に従業員に配ったところで満席になるほど日本のスポーツ競技は甘くない。しかしそれは決勝の東京ドームでも席は埋まる。近年は特に埋まっていました。そしてその努力を毎年リーグや協会努力ができれば、今頃は毎試合なんとかなっていたのかも知れないのですが、実際にそれ自体はリーグ(協会)が場所借りて2チームが来て試合するだけだったので難しい。

豊田スタジアムが出来立ての頃、名古屋グランパスの試合も満席でチケット入手は困難でありました。そして車のディーラーとしてそのプラチナチケットを販売促進に使用していました。新聞勧誘がプロ野球のチケットや娯楽施設、大人の遊園地の招待券まで配って新聞を取ってもらおうと勧誘しているのと同じ(「巨人戦くれたなら6ヶ月ハンコ押すよ」とよく言われていた当時新聞奨学生だったボク)。しかし、にもかかわらずひと区画まったく観客がいないところがテレビ中継で大写しになり大問題となったことがあります。トヨタ自動車が買い取ってキャンペーンに使ったチケット、タダで配られたチケットのお客さんが来なかったのです。その席がごっそりと空いていました。グランパス的には売り切れなので利益収入は問題ない。しかしチケットを取れなかったファンがテレビでごっそり空いた席を見つけて苦情をグランパスに電話して来て、新聞でも扱われた挙句にクラブで問題視されて改善されました。だからアメフトでも動員といえども席が埋まるのは大したものなのです。

ただこれ、1月3日に他の競技が行われたらどうなるでしょうか?!

来年は元旦よりバスケットボールのBリーグは試合を行います。新国立との競合、他の競技との競合になります。選択の幅が増えるといえば聞こえはいいですが、まぁそんな感じ。富士通フロンティアーズは川崎、川崎にあるBリーグチーム、川崎ブレイブサンダースは1月3日にホームゲームがあります。近隣の横浜ビーコルも試合がある。盛りだくさん!!学生人気に頼れない社会人だけのアメフト、初の試みとなります。

アメフトXリーグは正月3日に東京ドームで試合ができる。しかしそこに出場できる、日本一、優勝を争えるのは大口スポンサーを持つチームだけ。逆に大口スポンサーのない並のチームが1年間トップのX1で闘うとその加盟料は莫大な借金として数年間に渡り付き纏っています。例えるならばあるチームがX2で優勝してX1に昇格を果たしたまでは良いのですが、翌年X1に参加、結果として1年で降格したのですがこれだけでX1に参加してしまったその年の加盟料を5年間も分割で払い続けたチームもあありました。そしてX1リーグ参加資金がないためにX2で優勝しても昇格を辞退したチームもありました。色々な競技をこれまで撮影してきて、下部リーグ優勝チームがトップに金銭面で上がりたくはないというリーグは日本国内でアメリカンフットボールしか知りません。

でも東京ドームで優勝したところで優勝賞金は出ません。チームは潤いません。優勝したところで加盟料が返還されることもありません。話は違うのですが、『Vリーグ』あらため『Vリーグ』と名乗ったバレーボールも以前から優勝賞金は出ておりました。そして外資系スポーツチャンネルの恩恵を一時受けて桁が大幅に上がっていましたが、それがなくなった現在でもちゃんと優勝賞金は出ているのでしょう。

さすがに35年もスポーツ業界、スポーツビジネス業界の中に居るとこれまでも多くの失敗例を見てきました。

それらに共通しているのは、いつの時代もSNSなども時代に関係なく、『現代』をいかに受け入れ、『将来』を見据えることが出来るか否かにかかっています。

変革を嫌い、思考や人選の若返りを嫌う。責任転嫁をして保身を図る。

果たして何を守り、何を怯えているのだろうか。どんな競技もいつも現場は置き去りにされてしまっています。

誰も言い出さない、誰も疑問には思わない(ふりをしている)。

いや、言い出して居なくなった人、言わずに居なくなった人は数多く知っています。

いや、あそこは言えないだけのようです。表立たないと(裏に回ると)フレンドリーを求めてくる方々がいかに多いことかをこの身を通して知ることになりました。

しかも残っているものは小さなパイをあるだけ食べてお腹いっぱいにもなれずに、満足しない部分は陰口として周りに言いふらし、若手や新しいものが来ると意地悪をして追い払う。

アマチュアの中身はアマチュアが集い、プロフェッショナルという大海を知らないふりをして井の中の蛙はきっと住み心地が良いのでしょう。

そしてワールドカップ成功で波に乗ったもうひとつの楕円ボール、LEAGUE ONE。

このアルファベットひと文字だけではない名前からして何か新しいことが起こりそうな予感がする。

いや、プロとして新たなる年はこの我が身で起こしてみたい。すべて負の遺産、負の思いは年の瀬に置いていくことにしようと思います。